
ねぇもう嫌・・・
第22章 時に神を憎むほどの出来事が襲っても…
コンコン
『おはよ。』
「…」
『まだ寝てる?』
黙ったまま布団を頭まで掛けた。
『起きてるじゃん。』
柊先生の細かい笑い声が、布団越しにこもって聞こえた。
『顔出して?昨日のことも話したいしさ。』
「……っ」
身体が緊張してうまく動かせない。
結局布団を剥ぎ取られた。
「…ッ」
慌てて掴むが、引っ張られて離された。
『俺も時間が無いんだよ。』
その姿も声も、昨日のせいで怖いフィルターがかかっている。
『こんなの看護師に任せていいんだけどさ。
どうせ君迷惑かけるだろうから。』
不図(フト)目と目が合う。
目が、潤う。雫というフィルターがかかる。
視界が歪んでゆく。
"脱ぎたくない。今の今まで履いていた下着を見られたくない。嫌だ嫌だ。"
醜い現実がぽろぽろと想いになって、涙となる。
下の口にぐっと力が入ったのを自覚する。
