ねぇもう嫌・・・
第23章 夢のようで 涙はきっと現実
「ーーーだめぇ……っぅ…」
右手でベルトを掴む。
その時、佐藤先生のPHSが鳴った。
prrrrr…
突然止まった佐藤先生の手に、私も動揺してしまう。
『はい、……わかりました。』
佐藤先生は私を見て若干悩んだ後(ノチ)、"今行きます"と了承した。
「なにかあった?」
と聞く先生に、佐藤先生は
『急患が。特別に片桐できる所までやってくれる?』
と応えた。
先生と佐藤先生は同期だから、2人のやり取りは気にならない。
「全然やるよ。元主治医だしね。」
佐藤先生は "じゃあ宜しく" と言うと走って出て行ってしまった。
代わりの医師は絶対居るだろうに…なんで先生なの。
先生はどんな顔してるのか、気になって見上げる。
「っ」
嘘…やる気満々なの?
もう既に右手に白い手袋はめて、今度は左にもはめようとしている。