ねぇもう嫌・・・
第25章 天邪鬼(アマノジャク)
「…ふぅ…。」
最後の深呼吸。
ちゃんと工作して来たんだし、逃げるわけには行かない。
名前を呼ばれるまで、近くの壁にもたれ掛かる。
[終わりました。]
送信ボタンを押してあの人にメールを送った。
これは、無口で泣くことでしか人に表情を見せない私に、文字ならちゃんと伝わるだろ。と教えてくれた連絡先。
普通は受付に言いに行くんだろうけど、弱った私にはそれすらも大胆な行動。
スマホで連絡すればいいなんて、我ながら賢い判断だ。
あの人のトプ画、ホーム画、プロフィールを見て思わずにやける。
…と言っても、すべて初期画像。
プロフィールだけ[医師。]と設定されている。
あの人の連絡先には、一体何人の人が登録されているんだろう。
多かれ少なかれ、その中に入れてちょっとした優越感がある。
あー。
送った連絡、気づいてくれるかな。
まだ既読は付いてない。
でも、今の患者さんが終わったらきっと見てくれる筈。
ここは気長に待とう。