ねぇもう嫌・・・
第25章 天邪鬼(アマノジャク)
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管を受け取った瞬間から手が震えた。
力が抜けて、"もう何もしたくない"と願えば願うほど歯を食いしばる力が強くなる。
思い通りに動かない指先にイライラする。
だけどそれは、思い通りに動いてくれない私を診てる、柊先生と同じ気持ちなんだ。
施したくても施せない。
いっそ手放しちゃえばいいものの、そんなことは私が死ぬか病気が治るか以外不可能。
どうしたら病気と向き合ってくれるかを模索し、私もまたそれに応えようと頑張ってる…
…違う。
"頑張ってる"だなんて全くの嘘。
実際私の行動は変わっていない。
いつか出来るようになる、 と、その"いつか"に託しすぎてどんどん引き伸ばしてるだけ。
『管の開け方は分かるでしょ?』
机上の空論、いや空論に満たない曖昧な考え。
頭が混乱してる中、柊先生の声が脳に響く。
さっきよりずっと近い位置にいる…?
"もう抗うのはやめる"
"行動で示してみせる"
と、慌てて封を開けた。
白くて細い腕で両太ももを両方に開かされると、羞恥で居ても立ってもいられなくて、
そっと手から管を離した。