ねぇもう嫌・・・
第25章 天邪鬼(アマノジャク)
もうほんと弱いな…っ。
泣きそう。いやもう既に泣いてるんだけど、
胸がきゅうっと苦しくて、"やめたい"ってはっきり言いたいのに、柊先生との微妙な距離感が邪魔してる。
柊先生は何も言わずにサッと拾って、
"はいっ"と、また私の手に返した。
そっと受け取ると、また落としたくなる。
心の底から、身体中が、この管を拒絶してる…。
目線を上げて柊先生の姿を見ると、ドクターチェアに座ったまま、前かがみになって両腕をそれぞれの両膝に体重をかけている。
"もうやめたいよ…"
頭の中がそれでいっぱいになって、涙が溢れる。
想いが届かないことは茶飯事だったのに、今はいつもより苦しい、。
おもむろに椅子から立ち上がって視界から失くなる柊先生に少し不安を覚えた。
と、すぐに戻ってきた柊先生の手には大量のティッシュが握られていた。
『もう泣かないの。
指示したのは俺だから見なきゃいけないけどさ、ガン見するほど見ないから。』
そう言いながら俯いてる私の顔を、厚くて柔らかいティッシュで拭ってくれた。
柊先生のなにか を感じるだけでお腹に力が入る。
涙で揺らぐ視界。
どうにか封から管を取り出すと、封を柊先生に渡した。