卑怯なボクは深海魚
第10章 違和感のある感情
ピークが過ぎたからといっても…俺たち以外人が居ない訳ではない!
興奮した辻山の声に、前方側に座っていた客が俺たちを振り返り睨んでいる!!
俺は、いくつかの視線に“すみません”と言う意を込めて頭を下げる
辻山はそんなに俺の態度を見て、慌てて手で口を押さえた!
「ス…スミマセン」
「ったく、ビックリした――――…涙…大丈夫か?」
俺が隣に座ると…辻山は俺の方に体を向けて…スクリーンを見ようとしない…
「――――…ここ…重要な場面じゃぁ…ないのか?観ないのか?」
「――――で…ですよね…み、観ますよ?観ますから…」
俺は、辻山にポップコーンを渡すとスクリーンに、視線を向ける
ドッロドロのグチャグチャのホラーの作品でも…一応はストーリーがあるから…そこは理解して観ないと!
――――…なるほど!なるほど!それで殺戮が始まるのか!?
って――――!辻山を見ると…明らかに…ポップコーンをズーッと見つめている!
ん?んん?
「辻山?」
「ヒッ――――!!」
声をかけると…辻山はビクッと飛び跳ね!ポップコーンを器から何個か外へ飛び出させた!