卑怯なボクは深海魚
第1章 見なかった事には出来ない
先輩の顔が――――…歪んだ
カッコよくて…整った顔
でも――――…今はボクを見て歪んでいる
「――――…何…言って――――…」
「――――…先輩が…それ…カバンに入れるの…録画したって…言ったら…信じますか?」
先輩の顔がみるみる青ざめ――――…俺の姿を
恐ろしいものでも見るかのように見つめる
「――――…は、はぁ?お前…何…言って…」
ボクは自分のカバンから…コンビニのおにぎりが入った袋を見せた――――…
「―――あの時…先輩の近くで誰か買い物をしていたのぐらい…気がついていましたよね…」
先輩の目が…ボクのカバンに釘付けになる
そして、ハッと――――…その時の状況を思い出したのか
再び目を泳がせた
「――――…あの時…の」
先輩は、手にしていたお菓子を無意識なのか…握りつぶしていた