卑怯なボクは深海魚
第1章 見なかった事には出来ない
「――――…本当に…消すんだろうな…
本当に…誰にも言わないんだろうな…」
木の下に来て――――…先輩をボクと木の間に立たせる
ボクより背の高い先輩を見上げるボクは…
先輩の問いに…何度も頷いた
「――――…何で…キス…なんだよ…金とかじゃ…無いのか…普通…」
先輩はボクを見下ろし…
強い拒絶を見せる――――――――…
そりゃ…そうだ…
男にキスなんか誰がしたい?
それも――――…こんな得体の知れない下級生に…
「――――…お金より…ボクには価値があるんで…」
「――――は?」
先輩は不思議そうな顔を見せた…
今まで見せた先輩の顔のなかで、1番…日常的な顔だった…