卑怯なボクは深海魚
第1章 見なかった事には出来ない
“待って――――”
先輩の声がボクには届いている――――…でも、聞こえないふりをした
ボクは必死だった――――…止めたくなかった
先輩の胸の辺りを必死に掴み――――…離れないように…
ボクは唇を重ねた――――…
もっと――――…もっと…
欲張っている
そんなのは百も承知
先輩――――…先輩…先輩…
先輩の唇を唇でアマガミする――――…
甘くて――――…
苦い
涙の味がした
ボクは――――…瞳を閉じた先輩に隠れて…
涙を流す
貴方が――――…好き――――…でした