卑怯なボクは深海魚
第1章 見なかった事には出来ない
「――――ん、んん…」
ゆっくりと――――…唇が離れる…
これで…全てが終わった
「――――…先輩…お疲れ様でした…」
「――――…あ、ぁ…///ぉおう…」
先輩は、うっすらと目を開け始める…
その間にボクは先輩に背を向ける
見せたくなかった…ボクの涙を――――…
見たくなかった…先輩が不快に満ちた表情で唇を拭くしぐさを――――…
「――――…満足したのか…?もう、いいのか?」
先輩の声が背中に受けながら…ボクは頷いた
もう…充分…
「――――…じゃぁ…動画…」
ズキンと――――…胸が痛んだ
そんなのは――――…存在しないのだから…
でも、ボクはポケットから自分のスマホをとり出し
画像を削除するフリをした――――…