卑怯なボクは深海魚
第3章 戻らぬ日常
「お?辻山――――…大丈夫か?顔色悪いけど」
「あ、うん――――…大丈夫だ」
帰り際に、菊池に話しかけられ…いつもの様に笑顔で返したつもりだったが
菊池の顔は、心配そうだった
ダメだな――――…
嘘も上手に着けなくなったらしい…
ため息をつきたいが…我慢して「大丈夫、大丈夫!」と、菊池に背を向ける
清掃時間…
いつもなら率先してゴミ捨てに行くのに――――…
ボクは、ひたすらホウキやモップをやる
先輩に会ってしまう消極炉の近くは…
今のボクには怖くて行けない
彼女とのあんな場面を見てしまったのもあるが…
これ以上…
傷つきたくないのだ――――――――…