
笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
かく言う翔くんと言えば、
移住すんの?ってぐらいの大荷物。
翔「いや、だって、家を離れるんだよ?念には念を入れなきゃ?」
「一泊二日なんてあっという間だよ?」
分かってねぇなあ、と、小さなため息をつく翔くんに応酬するみたいに、リュックの隣の紙袋を翔くんの目の前にぷらぷらさせた。
「そんなこと言ってるとあげないからね?」
翔「え?出来たの?アレ。」
嬉しそうに手を伸ばす翔くんの視界から紙袋を遠ざけた。
翔「俺が注文したのに、見せてももらえないの?」
「この中には僕の分も入ってるから。」
そう、紙袋の中身は、
二人で話し合って作った僕らのペアリングが入っていた。
翔「今、つけないの?」
「ダメ!!向こうに着いてからのお楽しみだから!!」
翔「あ…そ。」
「先、車に乗ってて?すぐ行くから?」
「お待たせ。」
工房の後片付けを済ませ、運転席でハンドルに寄っ掛かり、ボンヤリしていた翔くんに声をかけた。
翔「じゃあ、出発しますか。」
「楽しみだね?」
さっきよりも少しだけ小降りになった雨の中、
僕らを乗せた車が走り出した。
