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笑い、滴り、装い、眠る。

第7章 雨の日は家にいて



翔くんと一つ屋根の下に住み始めて数ヵ月がたったある日のこと。



近くのスーパーで買い物をしていた僕は、思いがけない人に再会した。



和「晩飯の買い出し?主婦してるじゃないですか?」


「そ、そんなんじゃ…僕の方がずっと家にいるわけだし。」



カズくんはニヤニヤしながら買い物かごの中を覗き込んできた。



和「うまくいってるみたいですね?」


「あ……うん。」



どんな顔をしたらいいのか分からなくて、カズくんから顔を逸らしてしまった。



和「別にいいんですよ?気にしなくて?言ったでしょ?俺にはもう別に付き合ってる人がいるんだから。」



すると、向こうからカズくんを呼ぶ声がして、



相葉くんが手を振りながら走ってきた。



雅「大野さんもいたんだ?」


和「じゃ、我々はこれで。」



またね?と、ブンブン手を振りながら相葉くんたちは去っていった。



「さて…と…」



会計を済ませ、外に出ると怪しげな雲行きに急かされるように家路を急いだ。



あれ?そう言えば翔くん、傘、持ってったけ?



新入社員の翔くんは外回りが多い。



だから、折り畳み傘は持っていきなよ?って、いつも言ってるのに、荷物になるから、と言って中々持っていこうとしない。



「まったく…」



下駄箱の上に置かれた黒の折り畳み傘を見て僕は、大きくため息をついた。



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