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笑い、滴り、装い、眠る。

第9章 ずっとあなたが好きだった。



雅「あっ!!翔ちゃんだ!!」



辺りはすでに日が落ち、暗くなり始めていたけど、



暗さに慣れ始めた俺の目に雅紀の明るい笑顔が真っ先に飛び込んできた。



潤「もういつでも出来るよ?」


和「あとは翔ちゃん待ちだったからね?」



彼らは年齢こそ違えど近所に住む仲良し。



雅「浜辺でパァーッとやりたかったのに…」


和「しょうがないでしょ?我々まだ未成年なんだし?」


智「何?俺んちの庭じゃ不満?」


雅「そうじゃないけどさ…」



でも、どれから始める?と、雅紀はまんざらでもない様子だ。



潤「やっぱ、シメは線香花火じゃない?」


雅「だよね〜?」



無言で早速、何かしらの花火に和が火を付けた。



雅「わっ!?お前、何やってんだよっ!」



雅紀の足元でネズミ花火がしゅるしゅると音を立てていた。



和「一発目から盛り上げよう、と思って?」


雅「だから、って、いきなりネズミはないだろ?」


その後ろで潤がニヤニヤしながら太めの筒に点火しているのが見えた。



潤「雅紀、危ない!!」


雅「えっえっえっ!!今度は何?」



耳を塞ぎながら慌てて花火から遠ざかる。



ヒューッと音を立てて上がっていくさまをみんなで見上げながら見守っていると、



普通の花火大会で見る程ではないにしろ、



夏の夜空に、鮮やかに光の花が咲いた。



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