
笑い、滴り、装い、眠る。
第9章 ずっとあなたが好きだった。
うーん、と、唸った後、智くんはぽつり、呟くように言った。
智「翔くんの方はどうなの?」
「俺はしてない。だからこそ…」
智「翔くんが後悔してないならそれでいいじゃない?何の心配してんの?」
「だっ…て…。」
力強く、そう答えくれた智くんの体にしがみつく。
俺は昼間、取引先であった出来事を話した。
そこの社長の息子さんにもうすぐ子どもが生まれる。
初めての孫に浮かれていた社長さんは、初対面の俺に結婚は?子どもは何人欲しいのか、などと聞いてきた。
当然、俺は、
何一つ答えることができず、ただ、笑って言葉を濁した。
智「もし…さ…もしもだよ?翔ちゃんがさ、今の生活が少しでも何か違うな?って思ったらいつでも言って?俺はいいから?」
「え…?それ、どういう…」
智「だって、一緒にいるのにどっちかが違う方向向いてたら意味ないじゃん?だから……」
「……やだ。」
智「翔ちゃ……」
「ど…して……」
そんな言葉、あなたの口から聞きたくなかったよ…
俺はあなたと、
これからから先もずっと、
あなたと生きていきたいのに…。
