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笑い、滴り、装い、眠る。

第12章 Sweet,Sweet,Lollipops(S × O)



翔side


智「映画……良かったね?」


「……うん。」



久しぶりのデートに久しぶりの映画。



そして、



久しぶりに繋いだ、手。



智「ね…手、繋いでもいい?」



何年か前、そんなことを言い出したあなたに俺が戸惑う素振りを見せたけど、



有無を言わさず絡みついてくるあなたのキレイな指先に俺はドキドキした。



智「こんなとこにラーメン屋さんが?」


「ホントだ…いつの間に。」


智「おいしいのかな?」


「入る?」


智「あ…でも、ホテルのディナー、予約してあるんだっけ?」


「いや、いいよ?あなたさえ良かったらあそこで食べても?」



その小さなラーメン屋をアゴで指す。



智「……いいの?」



上目使いで遠慮がちに問いかけてくる。



俺はもう、それだけでホテルの豪華ディナーなんてどうでもよくなってしまう。



「だから言ってるでしょ?智くん次第だ、って。」


智「じゃあ……」



嬉しそうにしがみついてくる貴方は小さな子どもみたいに愛くるしくて、



人目憚らずに抱きしめたくなってしまった。



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