
笑い、滴り、装い、眠る。
第13章 俺にかまって!!(O×S)
まあ、何だかんだで色々あるけど、
人間には人間の、俺ら犬には犬の事情があるわけだからしょうがないんだけど。
智くんが同居し始めてからはとんとご無沙汰になっていたカズも、
予防接種のため訪れていた動物病院で偶然顔を合わせ、互いの近況を報告しあった。
和「お久しぶりです。」
「……うん。」
和「相変わらずいい毛並みしてるじゃないですか?」
この日は智くんのお友だちじゃなくて、そのお母さんに連れられていたカズは、
その膝の上でまったりしていた。
「……まあ。マメに手入れしてくれてるから。」
和「へぇ、よかったじゃない?」
「……よかねぇよ。」
智くんを独り占めできないんだから。
むくれて黙り込む俺を見てカズが吹き出した。
「な、なんだよっ!!感じ悪いな!」
和「……すいません。相変わらず分かりやすいなあ、と思って?」
「笑い事じゃねぇよ…」
俺はお座りの体勢から床に腹這いになった。
俺の方も、智くんのお母さんに連れてきてもらっていて、
二人は顔見知り、と言うほどの知り合いでもなかったから、隣り合ったよしみで軽く会釈を交わしていた。
和「まあ、でも……」
ひょっこり顔をあげ、カズがこちらを向く。
和「家族と言えど、我々は飼われている身の上ですから。」
