笑い、滴り、装い、眠る。
第14章 猫と俺とアナタと…
「ふふっ…」
智「ん?どうした?急に笑ったりして?」
お揃いの、色違いのカップを智くんが俺のそばに置く。
「うん。何か、昔のことを思い出しちゃって…」
智「昔、って、どのくらい昔のこと?」
うーん?と、考える仕草をする俺の背中に心地いい重みを感じる。
「ショウとサトシを拾った時のこと。」
智「そんな昔でもないじゃん?」
後ろから伸びてきた両腕が、俺の体の前で重なった。
智「てか、昔を懐かしむ、なんてオッサンみたいじゃん?」
「……オッサンだってば(苦笑)」
智「だってまだ、せいぜい十年ちょっと前だろ?」
「もう三十路なんだから、オッサンだって…」
智「じゃあ……ショウとサトシはバアサンとジイサンだな?」
智くんの腕が、俺の体を抱き寄せるみたいに力強くなって、俺の肩にアゴを乗せてきた。
「……そうだね?」
智「……翔くん。」
「……何?」
智「俺らも、さ、ああなるまで一緒にいたいね?」
「……そうだね。」
智「……じゃ、なくて、いような?」
「……うん。」
智「ジイサンとジイサンになっても?」
「う…うん…(汗)。」
そんな俺らの足下で、二匹の猫が大きなアクビをした。
「猫と俺とアナタと…」end.