笑い、滴り、装い、眠る。
第14章 猫と俺とアナタと…
ワザワザ待ち合わせてまで観に行った映画は恋愛映画で、しかも…
潤「付き合うんならやっぱこれでしょ?」
って、カズくんの友だちに言われたらしい。
てか、俺ら付き合ってないし。
まあ、それはいいんだけど、二人並んで座って見るには少しどぎつい内容で、
俺も智くんもスクリーンから目を逸らしていた。
智「な……何か、スゴい内容だったな?」
「そっ…そうだね?」
逆に気まずくなってしまって、映画館から出てからも少し距離をとって歩いていた。
少し前を歩いていた智くんが足を止め振り向いた。
智「ねぇ、お腹空いてない?」
「そう言えば……」
智「何食いたい?」
「え…と……」
智「オムライスとかどう?」
「え?」
智「翔くん、好き、って言ってたじゃん?」
「まあ…」
智「バアちゃんち、来る?」
「え?」
智「バアちゃんが作るオムライス、最高にウマイよ?それに……」
ちょっと、照れ臭そうに笑いながら言った。
智「……ショウとサトシに会えるしな?」
「……うん、そうだね?」
俺はそんな智くんに走り寄り、並ぶように歩き出したのだった。