笑い、滴り、装い、眠る。
第15章 TO You・・・
と、とにかく、今はそんなことはどうでもいい。
いつまでも二の足踏んでるわけにもいかない。
健康な成人男子二人、悶々と悩んでたって始まらない。
「あっ!!あのっ…!」
少し丸まった背中が止まって、智くんがこちらを向いた。
「二、ニノが…さ……これっ……!」
俺は仕事用に持ち歩いている鞄から例のものを取り出した。
初めこそ怪訝な顔をしていたけど、それが何たるかを理解した智くんの顔がみるみる赤くなる。
「ひ、必需品だから、って?」
あーもうっ!!恥ずかしい!!
これじゃあ俺の方から誘ってるみたいじゃん!?
智くんの顔をまともに見れなくて俺は俯けた顔をあげることができなかった。
が、俺の頭に乗っけられた、優しい感触にびっくりして顔を上げると、
智くんが優しく微笑んでいた。
智「後でニノにお礼言っとかなきゃね?」
そのまま智くんは俺の体を包み込むように優しく抱きしめてきた。
智「ふふっ。翔ちゃんの匂いがする♪」
「ど、どんな匂い?」
智「んー?いい匂い?」
「いや……だから、どんな匂いなの?」
智「えー?どんな、って…いい匂いはいい匂いだから……。」
「じゃ……なくて。具体的に教えてよ?」
智「もーどーだっていいじゃん?そんなこと?」
ちょっとおどけたように、
智くんは俺の唇にチュッとキスして笑った。