
笑い、滴り、装い、眠る。
第19章 brothers
智side
ある日、唐突に弟の雅紀がこんなことを聞いてきた。
雅「ねぇ、にーちゃんは好きな子とかいるの?」
「何だよ…いきなり。」
ホントに面倒くせぇな?
今から寝ようと思ってたのに…
「……いるけど。」
雅「えーっ!?うそ、マジでぇ?」
「……声、でけぇよ。」
雅「ご、ごめん。で、にーちゃんの好きな子、って、どんな子なの?」
「……今言わないとダメなの?」
雅「……出来れば今聞きたい。」
俺ははあっ、と、わざとらしく息を吐いてみせた。
「笑顔が可愛くて、頭がよくて、よく気がつく子。」
雅「にーちゃんにピッタリじゃん。」
「……だろ?」
褒められるのは悪い気はしない。
だから、うっかり会話を長引かせる質問をしてしまった。
「お前、もしかして好きな子が出来たとかか?」
雅「分かる?実はそうなんだよね〜♪」
このヤロ。もし、俺に好きな子がいなかったら自慢する気だったろ?
「付き合ってんのか?」
雅「それがまだなんだよね?」
思わず鼻で笑ってしまった。
「俺はその子と付き合ってんだけど?」
