笑い、滴り、装い、眠る。
第20章 brothers〜バレンタイン編
翔side
「どうしよう、今年のは…」
ここ数年、この日が近づくたびに頭が痛くなる。
「毎回チョコ、ってのも芸が無さすぎるしなあ…」
目の前のレポートよりも、
来るバレンタインデーのことで頭は一杯で、
レポートのための資料を読む気持ちの余裕なんて全然なかった。
でも、まあ……
「今年もチョコでいっか?」
智くんは自他共に認めるスイーツ男子。
弟の雅紀くんもそうらしいから、二人でケーキバイキングに行くこともままあるそうだ。
俺も時々連れて行ってもらうけど。
もちろん、智くんと二人で……ね?
今回はチョコでもちょっとこだわってみるか?
早速、スマホで調べてみた。
すると、出るわでるわ、食べるのが勿体ないぐらいのチョコが。
見た目だけじゃなく……。
「高っ…。」
やっぱ、いつものやつでいっか。
ベッドに寝ころがってため息をついているとスマホがなった。
雅『翔くん、ごめん、今大丈夫?』
「うん。どうしたの?」
雅『ちょっと相談があってさ…』