テキストサイズ

笑い、滴り、装い、眠る。

第21章 ホワイトデー狂想曲



智side


もらうもんもらったら、それだけじゃあ終わらないのが世の常、というもんで、



「……どうすっかなあ。」



寒さの和らいだある日の休日。



俺はソファーの上で一人、ぼんやり考えてた。



翔くんは実家に用があるから、と家にはいない。



まあ、相談しようにも相手がいないから一人、悩むしかないのだが……だが、



悩みごとが悩みごとだから、翔くんに相談するわけにもいかなくて…



潤「あれ、智さんだけ?」



部屋に入ってくるなり、潤は部屋の中を見回した。



雅「雅紀ならかーちゃんに呼ばれて家に帰ってるよ?」


潤「なーんだ、つまんね。」



潤はそこにあった俺の釣り雑誌を興味なさそうに捲ってはテーブルに放り投げた。



「雅紀になんの用事だ?」



……まあ、聞くだけ野暮だとは思うけど?



俺はコイツの態度にイラッとしながら聞き返した。



潤「ああ…一人で考えてるより本人から聞いた方が早いと思って?」


「もしかして…おまえもか?」


潤「智さんも?」


「まあ…」


潤「ふーん?」



それから俺らは言葉も交わさず目も合わさず、



しばらくぼんやり部屋の中で過ごした。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ