笑い、滴り、装い、眠る。
第22章 brothers・番外編
潤side
雅「ねえ、潤。」
「ん?」
本館の大浴場に通じる道すがら、雅紀が話しかけてきた。
雅「にーちゃんたち、ゆっくり出来るかなあ?」
「ゆっくりヤれるか、ってこと?」
雅「も、もー、はっきり言わないの!!」
「はっきり言っても言わなくてもそういう意味だろうが?」
そう。
以前、ある人の独り言を偶然聞いてしまった。
智「……何でいっつもいいところでジャマが入るかなあ?」
そう。この人は俺のアニキの恋人で、俺の恋人である雅紀のアニキだ。
つまり、
アニキは互いのアニキ同士、
その弟は弟同士で付き合っている、というワケだ。
おまけに、俺ら四人は、
生活費を浮かすため、同じ屋根の下に住んでいた。
だから、互いのラブラブな瞬間に出くわしてしまうこともままあった。
俺はあんまり気にせずいちゃつけるけど、
アニキたちはそうじゃないみたいで。
まあ、それが普通だ、って言われるけど?
智「……やっぱ、あいつらとは一緒にいない方がいいのかな?」
え?それはマズイ!!
俺と雅紀だけじゃあ、親父やお袋たちに実家に連れ戻されちまう。
俺は急ぎ雅紀に連絡し一計を案じた。
で、思い付いたのが、
「ホワイトデーに泊まりつき温泉旅行に行く」という計画だった。