笑い、滴り、装い、眠る。
第22章 brothers・番外編
俺は智さんが一人でいる時間帯を見計らって、ホワイトデーのお返しの話題を持ちかけた。
智さんはちょうどどうするか悩んでいたらしくラッキーだった。
「今回は食事にでも誘おうかな?」
なんて言いながらスマホを弄るふりをした。
で、突然思い立ったように温泉旅行を提案すると、智さんは簡単に乗っかってくれた。
旅行代金とか、諸々かかる分の殆どはアニキたちが出してくれることになり、俺ら的には得した気分だった。
「ここの宿、本館にも露天風呂があるんだって?しかもすげえ広いらしいよ?」
雅「そうなの?」
「内風呂はアニキたちに譲ってそこ行かない?」
雅「うん♪行く行く。」
雅紀が大の風呂好きなのは知ってる。
「サウナとかジェット風呂もあるんだって?」
雅「へぇ、楽しみ♪」
俺は雅紀にパンフレットを見せながら当日のことを打ち合わせた。
そして当日。
雅「うわあ。何か高そう…」
雅紀がそう言うのも無理もない。
2階建てメゾネットタイプの離れの部屋。
「大丈夫。アニキたちもだしてくれてるし。」
雅「それじゃあ、お返しになんないじゃん?」
「……それもそうだけど、アニキたちが気にすんな、って言ってくれたから。」
雅「んー?ならいいんだけど……。」
雅紀はちょっと納得いかない様子だったけど、
それぐらい、アニキたちはご機嫌だ、ってことだ。