ドラクエらんど【番外編】
第1章 1
僕の夢は、冒険すること。
実際にドラクエの世界に入って、勇者になって、魔物を倒しまくって、最後はお姫様と結婚する。
……だったのに。
「マナト、うしろ!!」
背後からなにかが近づいてくる気配を感じ、僕は慌てて振り返った。
「…っ!」
逆光でよく見えないが、それはヒョウだった。
ヒョウが飛びかかり僕に襲いかかる。
僕は右手に握っていた剣を振り上げようとしたが間に合わなかった。
──ザシュッ!!
もうダメだと思わず目をつぶったが、全然痛くなかった。
「……あれ?」
そっと目を開けると、目の前に見知らぬ男が立っていた。
頑丈そうな鎧と兜、盾と剣を装備していて、いかにも戦士という感じだった。
足元にはキラーパンサーが死んでいて、一撃で倒したというのが彼の強さを証明していた。
「…えっと…」
「お前、死にたいのか」
自分よりもはるかに背の高い強そうな男に睨まれて、僕は下唇を噛んだ。
「マナト、大丈夫!?」
仲間の風(ふう)が真っ先に僕の元に駆けつけてくれた。さっき僕に声をかけたのも風だった。
「ごめん、ボーッとしてた…」
「もうっ…戦闘中にボーッとしないで!
…マナトまで死んだら、あたし…」
「ごめん」
風が一応、回復魔法をかけてくれた。
体力は元に戻ったけど、心のダメージは元に戻らない。
「あの…助けてくれてありがとうございました」
風と僕は、男にお礼を言った。
すると男は剣についたキラーパンサーの血を振り払うと、鞘におさめた。
「俺は黒田。この先の城を拠点にして、モンスター狩りをしている。この辺りは比較的弱いモンスターばかりだが、たまに凶暴なモンスターが出現する。だから気を抜くな」
「…あ、はい、すみませんでしたっ…」
風は慌てて頭を下げた。
僕はいきなりの上から目線に不快感を覚えた。
「何か困ったことがあれば町の酒場を尋ねろ。そのままでは全滅するぞ」
「……」
僕たちに偉そうな説教をすると、黒田は踵を返して去っていった。
実際にドラクエの世界に入って、勇者になって、魔物を倒しまくって、最後はお姫様と結婚する。
……だったのに。
「マナト、うしろ!!」
背後からなにかが近づいてくる気配を感じ、僕は慌てて振り返った。
「…っ!」
逆光でよく見えないが、それはヒョウだった。
ヒョウが飛びかかり僕に襲いかかる。
僕は右手に握っていた剣を振り上げようとしたが間に合わなかった。
──ザシュッ!!
もうダメだと思わず目をつぶったが、全然痛くなかった。
「……あれ?」
そっと目を開けると、目の前に見知らぬ男が立っていた。
頑丈そうな鎧と兜、盾と剣を装備していて、いかにも戦士という感じだった。
足元にはキラーパンサーが死んでいて、一撃で倒したというのが彼の強さを証明していた。
「…えっと…」
「お前、死にたいのか」
自分よりもはるかに背の高い強そうな男に睨まれて、僕は下唇を噛んだ。
「マナト、大丈夫!?」
仲間の風(ふう)が真っ先に僕の元に駆けつけてくれた。さっき僕に声をかけたのも風だった。
「ごめん、ボーッとしてた…」
「もうっ…戦闘中にボーッとしないで!
…マナトまで死んだら、あたし…」
「ごめん」
風が一応、回復魔法をかけてくれた。
体力は元に戻ったけど、心のダメージは元に戻らない。
「あの…助けてくれてありがとうございました」
風と僕は、男にお礼を言った。
すると男は剣についたキラーパンサーの血を振り払うと、鞘におさめた。
「俺は黒田。この先の城を拠点にして、モンスター狩りをしている。この辺りは比較的弱いモンスターばかりだが、たまに凶暴なモンスターが出現する。だから気を抜くな」
「…あ、はい、すみませんでしたっ…」
風は慌てて頭を下げた。
僕はいきなりの上から目線に不快感を覚えた。
「何か困ったことがあれば町の酒場を尋ねろ。そのままでは全滅するぞ」
「……」
僕たちに偉そうな説教をすると、黒田は踵を返して去っていった。