赤い糸
第1章 約束
「こんなに溜めたんですか?」
「しょうがねぇだろ。おまえがあの医者と学会なんか行ってるから。」
洗い上がった洗濯物をハンガーに掛けながら溜め息を漏らす璃子。
「今日洗濯しなかったら月曜日のYシャツ無かったんじゃないですか?」
「無いよ。」
「無いよじゃないですよ、もう…」
だってコイツはブーブー文句言いながらも俺の苦手な家事を率先してやってくれる。
「まだ?」
「まだです。」
俺はビール片手に、パジャマ姿でカーテンレールに手を伸ばすおまえを眺めているんだけど
「なぁ…まだ?」
「まだで…キャッ!」
愛らしくてソファーになんか座っていられない。
邪魔だとわかりながらも後ろから抱きしめるように腰に手を回し
「ちょ…それじゃ干せません。」
風呂上がりで石鹸の香りを身に纏う璃子を困らせる。
「だから早くしろって。」
正直 待っていられないほど俺の理性は崩れかけていた。
…マジでおまえに触れるの何週間ぶりだと思ってんだよ。
医療秘書的な仕事をしている璃子は先週は先生のお供で学会に行き
「待っ…京介さ…」
「待てない。」
その前の週は女子日だと頬を赤らめた。
「そろそろご褒美くれてもいいんじゃない?」
「エッチ…」
「ハイハイ、エッチですよ。」
「ワァッ!」
小さなコイツを抱き上げて目指すは愛を語り合える場所。
「ちょっと待って下さい!」
きっとコイツは部屋が明るいだの明日の米を研いでないだの逃げる理由を並べる。
だから俺は
「明日はパンでいいし洗濯物も全部干した。部屋の電気は…よっと…消しました。他にはあるか?」
返事がNOだってそんなの聞いてられるか。
「…んうっ…」
オレを睨むように見上げ頬を膨らますおまえの唇を吸いあげるように重ねて
「逃げるな。」
両手をシーツに縫い付ける。
「今日は寝かせないからな。」
「ウソ…」
「ホント。」
甘い甘いこいつの体を思う存分堪能する。
「ほら、ベロ。」
「…ん。」
「もっとベェーって。」
「…ベェー…んっ!」
仕草一つ一つが愛らしい。
だってコイツにセックスを教えたのはオレで
「なんだよ、もう濡れてんじゃん。」
「…ヤダァ…」
開発したのももちろんオレなわけで
「イヤじゃねぇだろ。」
だからおまえは誰が何と言おうと俺のモノなんだ。