
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第12章 予期せぬ……
酔いの勢いもあって、
私達はシラフなら絶対話さないであろう、
色んな話しをした。
互いのドジ話しから始まり、
学生時代夢中になった事とか、
好きな特撮ヒーローとか。
本当に他愛もない話し。
気付けば、ワインの瓶が5本くらい床に
転がっていた。
「……でもホント、竜二は惜しいよなぁ~」
んでもって、呼び方も”せんせ”から”竜二”
って、呼び捨てに。
酔っ払った絢音は調子にのって言う。
「顔はめっちゃタイプなんだけど~。性格悪すぎ!
口も悪すぎ! 惜しいよ~」
「どこが悪ィんだよ! 超イイヤツだろ、オレはっ!」
同じく酔っ払った竜二がデカイ声で反論す。
「Sキャラ過ぎ! か弱い女子には怖いっての!」
「そんな風に感じるお前が卑屈なんだよ……
オレから見たらお前の方が惜しい!」
「え~っ、どこがよぉー?」
ほとんど喧嘩腰。
「顔が惜し過ぎる! 性格はオレの好みなんだがなぁ!
あー、マジで残念な奴ぅ!」
「うっわ、ひっどぉいっ! これでもアンジーに似てる
とかって言われた事あるのにぃ!」
注! アンジーとは、ブラッド・ピットの
元(?)奥様でハリウッド女優の
アンジェリーナ・ジョリーです。
「へへへ……そいつもかなり酔っ払ってたんと
ちゃうかぁ?」
大声で悪口を言い合い、ゲラゲラ笑った。
あー、プライベートでこんなに楽しく話したの、
ホント久しぶりぃ。
絢音が新しいワインを開けていると、
竜二が据わった目で絢音をじっと見てる。
「なん?」
「お前、ホントに男おらんの?」
竜二が柄にもなくそう真顔で言えば、
絢音も「うん、そーだよー」と、答えた。
