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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第14章 大好きなのに……

「なぁ、山城。悪いけどそいつまだオレのなんだわ。
 勘弁してよ」

「え~っ、マジかよ?」

「大マジ。今度キレイどこ紹介するからさ。ね?」

「ちぇっ。久々の上玉だったのによ」


  そう言って絢音の顎から手を放し男は去って
  行った。

  ハァ……と、絢音は溜息をつくとフラッと
  座り込む。


「だから言わんこっちゃない……立てるか?」

「あ ―― えっと……」


  竜二は絢音の返答を待たず、
  絢音を抱きかかえて歩き出す。


「あ、コレ、恥ずい……」

「しっかり捕まってろ。振るい落とすぞ」


  そう言われ、仕方なく絢音は竜二の肩口に
  しがみついた。


 ***  ***  ***

 
  この界隈では知らぬ者がいない程の人気者・
  鮫島竜二が、ちんちくりんの絢音をお姫様抱っこ
  して通りを悠然と進んでゆく様に、
  人々は皆、驚きと羨望の入り混じった視線を注ぐ。


「あ、あの……も、歩けそうだから降ろして、
 頂けますー?」

「ついでだから家まで送ってやる」


  と、停車中の愛車の助手席へ絢音を座らせ、
  自分は運転席へ。

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