
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第14章 大好きなのに……
「離してよ」
「こないだ言わなかったっけ? お前を他の野朗に
取られたくないって。カンケーねぇわけないだろ」
「なら……なら、他の女の子からあんなにいっぱい
……貰う事ないのに……」
「……あ?」
「他の女の子からチョコ貰って嬉しそうにしない
でよっ! 私だって、一生懸命頑張って……」
「わーりぃ、バレンタインのアレは恒例行事みたいな
もんだからな。でも、毎年本命以外は学校の
提携してる養護施設へ送ってるんだ。あそこの
ガキ共は皆甘いもんに飢えてるからな」
「!!……」
「オレ、すっげー嬉しい」
「??」
「お前でも、ヤキモチ焼く事あるんだな」
「ばっ ―― ばか……」
そう言って絢音は顔を赤らめ俯いた。
「お前の気持ちはちゃんと貰ったし、チョコもちゃんと
1人で全部食べたからな」
その言葉に小首を傾げた絢音に、竜二は絢音が
学校のゴミ箱に捨てたハズのチョコの包装紙を
示した。
「あ、それ ――!」
「せっかく作ったやつ、捨てるなんてあんまりなんじゃ
ねえ?」
「だ、だって……」
「捨てた罰として、オレからのお願い、ひとつ聞いて
くれるか?」
「……」
