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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第15章 素直になって

 
  薄っすら目が覚めて、寝返りを打とうとして
  動けない事に気付く。

  車から竜二のマンションへ移って、
  昨夜は竜二に何度イカされたか分からない。
  
  とにかく今はっきり言える事は、
  セフレ達とのセッ*スじゃ得られなかった充実感で
  満たされているっていうこと。

  自分の頭が何かゴツゴツとしたものを
  枕にしているのを理解すると同時に、
  背中を包み込むような人肌のぬくもりを感じ、
  ようやく昨夜のことを思い出した。

  どうやら背後から抱き込まれているらしい。

  ウエストに回った方の腕一本でしっかりと拘束
  されているために、身動きができない。

  顔だけを後ろに向けると、
  まだ瞼を閉じたままの竜二がいた。

  抱き込まれていた相手が竜二だった事に
  何となく安堵して、ふわっとひとつ欠伸をすると
  くぐもった声が聞こえてきた。

「起きたのか?」

「あ、ごめんなさい。ごそごそしたから、竜二こそ
 起こしてしまって」

  妙にかすれた声が、昨夜の己の痴態を思い
  起こさせる。

「動けそうか?」

  自分のせいで起こしてしまったのかどうか、
  答えをもらえないまま新たに質問される。

「あなたが放してくれたら」

  絢音の返答にかすかに苦笑する気配。

「いや。立って動けるかどうかを訊いたんだが……」

「…………」

  ようやく解けた拘束に、そっと身体を起こして
  みる。
  腹筋に力を入れた途端、電気ショックのような
  痛みが尾てい骨のあたりから背筋へと走る。

「くっ……。……だめ、みたい」

  ポスリと再び竜二の腕の中に戻り、
  呆然とつぶやく。

  行為自体は激しかったが、相当丁寧に抱かれた
  という意識があっただけにショックも大きい。

  これでは通学もままならない。

  初めての時も、2回目も、酒に酔った勢い
  だったけど。

  昨夜は竜二に抱かれたくて、抱かれた。
  
「学校、いけない……」

「済まなかったな、丁寧にシたつもりだったが……」

  そう言うと軽々と抱き上げられた。

「なに?」

「シャワーだ。気持ち悪いだろ?洗ってやる」

「え、いいよ。1人でだいじょぶ」

「大人しく言う事をきけ。オレもこれから仕事だ。
 風呂場でおっ始めたりはしない」

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