
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第6章 新しい日常
*階にある教室に入ると、
本日1時限目”古文”の**先生は
まだいらしてなかった。
ラッキー。
いつものように私の席を確保してくれていた、
クラスメイト森下利沙に『おはよー』と
挨拶しながら、その席に着く。
すると、利沙が声をひそめて言ってきた。
「みーちゃった みーちゃった。あんたさ、いつの間に
ダサ島と知り合ったん?」
「え? ダサ島?」
利沙の座った位置からは、窓から職員用駐車場が
良く見えて、今そこでは、あの非常勤講師が
校舎に向かって歩いてくるところだった。
「ダサ島こと、鮫島竜二・33才」
へぇ ―― あのおっさん、先生だったんだぁ……。
思いっきり、似合ってないと思う。
「べ、別に、知り合いたくって、知り合った訳やないよ」
そこで、あいつの車に泥ハネされた経緯を
コートのシミを見せながら説明した。
「―― ってな訳」
「そりゃまぁ、朝も早うから災難やったねぇ」
間に10分の小休憩を挟んで、
各50分✖3の授業も終わり ――。
「そりゃ、そうと、絢は年末、実家に帰るん?」
「ううん、今のとこその予定はなし」
「じゃあさ、カウントダウンいこーよ!
ディズニーランドの!」
「……誰と?」
「うちと、洋と……まだ未定」
洋とは利沙のセフレだ。
利沙の実家のホテルがディズニーランドの後援を
しているから毎年カウントダウンのチケットが
優先で手に入る。
せやけど ――
何が楽しくて恋人達満載のデートスポットに
独り身のうちが行かねばならないのだ!
……と言っても、年末年始は暇だしなぁ……
