
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第9章 季節はうつろう
「―― うじ ―― りゅうじ? ……おい、
竜二ってばっ」
いつの間にか昼休みに突入し、
オレの傍らには日向が来ていた。
「竜二 ―― なんだこいつ? 目ぇ開けたまま
寝てんのかぁ?」
キラキラして見えたり、触ってみたくなったり
……キス、とか ――っ、
コレってアレだよなぁ ”好き?” いや待て。
オレにとってあいつはただの教え子だ。
そう、ただの教え子……。
「なぁ竜二ぃ、百面相の練習でもしてんのー?」
そこへ、皆んなの嫌われ者・迫田登場。
「鮫島先生やっぱりここにいたぁ、すぐ来て下さい」
「はぁ?」
「日向先生もご一緒に願います。悪魔が暴れたら
困りますんで」
オレと日向はさっぱり訳が分からず顔を見合わせ、
とりあえず迫田について職員室へ戻った。
*** *** ***
すると、奥まった応接セットのソファーに絢音と
教頭・山ノ内が向い合って座っており ――。
「いいか、和泉、その脅しに遭っていた他校の生徒は
お前の名前で脅されて仕方なく金を出したといって
るんだ」
「その強請り常習犯って奴に私が指示してたって証拠は
あるんですか?」
「あぁ、もちろんあるとも。その生徒の体は痣だらけ
だったてなぁ。警察から報告があったよ」
はーあぁ??
なんだ、そりゃあ。バカ言ってんじゃねぇ。
んなモン、誰がつけたか?
なんて何とでも言えるだろがっ!
なんで絢音がヤったって決めつけ ―― あっ。
『あいつくらい強くなると勝手に不良共が
挑んでくる、良くも悪くも』
アレはこうゆう意味だったのか。
それを絢音を知らない連中が鵜呑みにして……。
