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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第9章 季節はうつろう


「なぁヒデ、和泉が悪魔だって言い出したの、
 生徒じゃねぇのか?」

「んンにゃ、俺は先輩達から聞いたが」

「―― いい加減認めたらどうだ?! 和泉。
 他にもお前の悪行ネタは挙がってるんだぞ」

「あぁ、たっくもうっ! 絢音っ、なんでお前何も反論
 しないんだよ」

「前はそうしてたけどさ、何か言ったところで
 通じると思う? こいつらに」

「コラッ、和泉。先生に向かって”こいつら”とは
 何だっ! ホラ、鮫島先生は引っ込んでて下さい。
 話しがややこしくなるだけですから」


  ……そうだな、
  オレもついこの間まではそう思ってた。

  だから今までは、
  ヘラヘラ笑って見過ごしてきたんだ。

    
「お前らが ―― お前みたいな生徒がいるせいで
 学校の信用はガタ落ちなんだぞ。
 少しは反省したらどうなんだ、和泉」


  あんたみたいな、生徒に全く信頼のない教師が
  いるって事はどうなんですかね?
  迫田先生。

  それに、こんな場面をこう長々と見せつけられると
  さすがのオレも無性に腹が立つ。

  オレは腹立ちまぎれに、
  近くの壁へ思いっきり拳で風穴を開けてやった。

  ガコン! 
  という、鈍い音と共に砕けたコンクリート壁に
  山ノ内も迫田も目が点だ。


「さ、鮫島先生……?」

「教頭先生」

「な、な、何、だね」

「和泉絢音はそうゆう卑怯な真似をする奴じゃ
 ありません。保証します」

「な、何を根拠にそんな事を ――」

「それは……そうゆう奴、だからです」

「「は、ぁ??」」 ⇐ 山ノ内と迫田。

「じゃ、そうゆう事で。ホラ、行くぞ、和泉」

「えっ ――」


  山ノ内と迫田に負けず劣らず唖然としてる
  絢音を引っ張り戸口へ向かう。

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