
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第9章 季節はうつろう
教室へと戻る道すがら、絢音は職員室での
オレの言動に感動しきりで笑いが止まらない。
「オイ……笑い過ぎだぁ」
「だ、だってぇ……センセ恰好良すぎ。
マジ、惚れ直したかも」
「そりゃあどうも」
「ね、さっきの皆んなにも言っていーい?」
「勝手にしろ」
「……けど、あんたにはまた、助けられちゃったなぁ。
さすがは私の恩人」
「ええっ?」
「やっぱ覚えてないか。ま、無理もないけど。
あの時私はまだ中1だったから」
「……」
*** ***
これは、絢音の中1の時の回想シーンです。
因みに今絢音は、同級のいかにも気が弱そうな
男子をカツアゲ中 ――。
「オラっ、金出せって言ってんでしょ。持ってるのは
分かってんのよ」
絢音に胸ぐらを捕まれ脅されてる男子は
顔面蒼白で言葉も出せない。
「私、あんまり気が長くはないの。こうやって静かに
話してるうち出しちゃった方が自分の身のためよ?
それとも、少し痛い目に遭いたい?」
そう言って絢音が取り出したバタフライナイフに、
男子は余計怯え震えだす。
そこへ、若き日の竜二参上。
「なにやってんだ!」
「ってぇ。何すんのよ、離しなさいよ」
竜二が絢音を取り押さえた隙に脅され男子は
逃げていった。
