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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第9章 季節はうつろう

  なんか……あれ?

  ちょっと……あれ?

  気分的に、何だか私……おかしい。

  ……なんで?


  クラス対抗男女混合騎馬戦は、下馬評通り、
  3年生の圧勝で終わった。

  私は競技が終わるやいなや、保健室に急いでいた。

  いや。
  あの2人の邪魔をするつもりとか……
  そんなんじゃなくて。

  もしかすると、あいつのケガが、
  私のせいなのかもしれないって思ったら、
  すごく気になってて……。

  だってこのあと、あいつ、教職員VS父兄チームの
  対抗リレーも出るはずなのに。

  チームのエースが走れなかったらどうしよう……。


  保健室のドアを開けると、刑部さんが先生の膝を、
  消毒しているところだった。

  他には、誰も見当たらない。


「あ……」

「あら? あなたは確か3-Sの和泉さんだった
 かしら? どうしたの? ケガでもした?」

「……あ、いいえ。なんでも、ないです……」


  せっかく声を掛けてくれた刑部さんに、
  ぶっきらぼうにそう言って、
  そのまま保健室を飛び出してしまった。


  ハァ ハァ……ハァ ハァ……

  別に……何、逃げてんだろ? 私。

  何かあそこにいたら、
  いけないような気がしちゃって。

  すごく……ドキドキしてた。

  何しに行ったんだか……

  だってあのケガ私のせいだろうし。

  だから、謝りたくて……。

  なのに、何だかわざわざ、2人の邪魔しに
  行ったみたいになっちゃった気がして……。

  余計気分的に、なんか……。

  なに? これ……。


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