
オオカミは淫らな仔羊に欲情す
第10章 その時、2人は……
宵の宴。
見物人達もおおかた引き払ってしまった後、
露天等で働いていた地元商工会のメンバーと
大和田の若衆達でのお疲れ様会。
ま、中身は単なるおっさん達の飲み会なのだが、
いい加減酔いの回った誰かが先人を切って
踊り出せば、皆こぞって踊りに加わっていく。
若い絢音達もそんな踊りの輪へ
引っ張り込まれ――――
各自何となく、2人ずつのペアになり
”動”から”静”に変わったBGMにのせて
チークダンス。
見かけ通りこういうダンスはあまり得意そうでない
辰兄が、片隅でひと息入れているめぐみの
傍らに来て、いいムードで踊っている
絢音&竜二ペアを見て言う。
「ところでさ、あの2人ごっつう雰囲気ええけど、
デキとるん?」
「辰兄さんはどう思います?」
「そ~やなぁ……あのあんちゃんは見た感じ結構
イケイケそうやけど、桜羽のお嬢は今どきの
若いもんに珍しいくらいの超奥手やさかい」
「ハハハ――それ、当たってますね」
「で、実際のトコどうなん?」
「辰兄さんのご想像にお任せします」
