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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第11章 ちょっとしたヤキモチ

  11月も終盤に差し掛かると、
  街はすっかりクリスマスモード一色だ。

  夜ともなれば色とりどりのイルミネーションが
  通りを華やかに彩る。

  東京では六本木ヒルズのイルミネーションが
  有名だが。

  ココ表参道もなかなかいけると絢音は思う。


  今まではクリスマスだなんだと浮かれた連中を
  見ては、理解できないと小馬鹿にしてきた。

  それが、気になる人が現れた途端、
  こうしてウキウキした気分になっているのだから、
  まったくもって現金なものだと自分でも思う。


  けど、竜二は期末試験の採点や全国模試の
  会場準備で猫の手も借りたいくらい忙しい模様。

  高校教師なんだから、仕方がないとは言っても。

  最近、まるでかまってくれないので、
  絢音はかなりご機嫌ナナメだ。


  そんなこんなで、イマイチ勉強にも身が入らず
  教室の廊下で窓の外を見ながら黄昏てため息をつく、
  絢音の背中を誰かがバシッと叩いた。


「つっ ―― !」


  こんな無遠慮な痛みに思い当たるのは彼女しか
  いない。
  振り返るとやはり予測通り利沙だった。

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