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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第11章 ちょっとしたヤキモチ

  タクシーを出ると、五階建てのおしゃれな
  デザイナーズマンションがあった。

  今度は、彼は手をひかず、私の肩に手を回して、
  城の石垣みたいなエントランスへと向かう。


「あ、あの、つい、来ちゃいましたが、
 お部屋拝見したら、すぐ帰るので」


  センセはちょっと不満げな表情になって
  私に半眼を向けた。


「いつから、そんな反抗的になった?」

「え、って ―― で、でもそれ……は困ります」

「それ……って何?」


  彼はニヤっと笑って質問してきた。
  やっぱ、意地が悪いな。
  エレベーターに入ると、彼はまたキスをしてきた。


「なんで困るの?」


  パンツが……というわけにもいかず。
  しばらく悩んだ挙句、アパートの門限をダシに
  使った。


「ア、アパートの門限、11時だから」

「へぇ~、そんなの初耳だなぁ~」


  そりゃそうだ。

  この場から逃れる為とっさについた嘘、だもん。


「じゃあ、やっぱり今夜は泊まっていけ」


  いつになく強引なセンセに、私再びピンチ。

  そうこうしているうちに、
  最上階の部屋に連れ込まれた。

  ドアを閉めてから彼は言った。


「OK。今日はしない。確認だけさせて?」


  ―― 確認?

  やっぱり、この人、言葉の使い方が独特。

  彼の部屋は廊下を進むとダイニングキッチンがあり
  そこにドアがふたつ。

  間取りは2LDKだ。

  ひとつはドアが閉まっていて何の部屋か
  わからないが、私が連れ込まれたのは ――
  やはり寝室だった。

  目の前に濃紺ベッドカバーのかかった
  キングサイズのベッドがで~んとあった。

  ぎょっとして、彼の双眸を見つめ、
  「さっき、しないって!?」と語気を強めた。

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