幸せの記憶
第1章 ☆幸せの記憶
ふいに、今日は祖母の月命日だったことを思いだし、あの夢は風鈴が運んできたこの家の―――祖父母の幸せな記憶なのかもしれないな、なんて思ったりした。
所詮はただの夢だけれど、僕はロマンチックな質なのだ。
―――チリン、チリリン♪
その時、夏の爽やかな風が座敷のなかを通り抜け、その硝子の風鈴の涼やかな音色が優しく響いた。
でも、いつか僕も祖父母のように―――・・・。
でも、そのとき隣には美緒さんがいたら嬉しいかもしれないなぁ、なんて僕が密かに思ったことを美緒さんは知る由もないのだった。
2017.6.27(tue)
Fin