幸せの欠片
第2章 再会
「いえ、1人ですから」
“良かったらどうぞ“
俺の口からは自然とそんな言葉が出た
…これだって、普段の自分では有り得ない行動なのに
2度目の今も、やはり彼の存在は俺の警戒心をいとも簡単に取り払ってしまった
カフェオレを注文した彼は、残されたカップを片付けて貰っても
テーブルに置かれた小銭を見ても、何も聞いて来ない
まるで何もなかったかのようにニコニコと笑っている
「また会えるとは思ってなかったから、嬉しいな」
彼は本当に嬉しそうだ
「そう、ですか」
嬉しい?
俺に会えたのが?
あの時だって、俺は彼の話を聞いてるだけで碌に話してもいないのに
「うん。嬉しい」
そう言って笑う彼の目に、嘘は感じない
だけどオブラートに包む事もせずに直球で来られるのはいささか気恥ずかしいものがある
俺は少し視線を逸らせ、新たに注文した熱いコーヒーを口に運んだ
相葉さんは、当たり障りのない話で俺をその中に入って引き込んだ
上手い、と思った