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幸せの欠片

第14章 幸せの時間


*******

「かず!」

改札に入ろうとした処で、後ろから肩を叩かれた

俺を “かず“ と呼ぶのはこの人しかいない


「相葉さん…」

昨日の今日、…しかも朝に別れたばかりなのに

「良かった。見つかって」

相葉さんがあからさまにホッとした顔を浮かべている

「どうしたの?用事なら電話くれれば良かったのに」

そう言ってから、相葉さんの手の中にある見覚えのあるそれに目を見開いた

「電話、したくても出来ないし。…忘れてったよ」

苦笑しながら俺の手にそれを握らせた相葉さんが、そのまま俺の背中に手を回す

そして、改札とは反対の方向に俺を促し始めた

「相葉さん?」

「わざと忘れてったと思った」

「え?」

「…俺と、会いたいと思ってたのかなって」

蕩けるような甘い囁きに、思わず顔が熱くなる

こんな人混みで、その声は止めて欲しい


だってまだ身体が覚えてる
相葉さんのぬくもりも、熱も

まだ自分の身体から抜けていないんだから

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