幸せの欠片
第15章 変わる。
「今さら元気も何も…。しつこく行けって言うのはそう言う意味だろ」
自分でも、その笑みが歪んでいるのが分かった
本当に今さらだ
それなら何故、もっと早くに
…家を出た時に言わなかったんだ
「それは……お前が定期的に行っていると思ってたから」
父親の言い分は間違ってない
家を出る条件として、病院に通う事が入っていた
だけど
「それを1度だって確認すらしなかったのは、親の怠慢じゃないんだ」
そう思う俺は、子どもなんだろうと思う
自立したくせに親のせいにするとか、責任転嫁も良いとこだ
「…すぐにアパートを変えて、携帯も変えて音信不通にしたのは誰だか」
父親が呆れたように苦笑した
「…まだお前のわだかまりは解けないか」
「わだかまり?…ないよ、そんなのはとっくに」
母が死んだ時に父親が放った言葉は忘れてはいない
でも自分が大人に近付いた時に、その時の父親の心情は理解したつもりだった