幸せの欠片
第15章 変わる。
何故気付かなかったのかなんて、今となってはどうでも良い
その理由は確か中学に上がる頃に聞いたけれど
仕事に明け暮れた父と、どこかフワフワしていた母なら、見つからなくても何らおかしくないとも思えたし
だけど
こんな検査を今さら受けて、俺がそれに対して何もしないと決めてたら
これに意味なんてあるのだろうか
自分の体は自分が一番知っているし、所謂 “普通の状態“ でない事だって承知している
リミットを分かってるから、誰かを心から好きになるとか
その人しか見えないなんてならないようにしてきたのに
それなのに
今、自分が揺れている事に酷く戸惑った
何もしない、と決めた筈の決意が揺らぎ始めている
もしも治ると言うのなら、縋りたいと心のどこかで願う自分がいる
ー…相葉さんに出会ってしまったからだ
幸せになんかならないって決めてたのに
なる資格なんかないって自分に言い聞かせてきたのに