幸せの欠片
第18章 欠片は雨に消える
手術を受ける事は、父にも告げた
本当は言うつもりはなかったけれど、“これからの為には絶対に言うべき“ と、相葉さんに強く言われたからだ
検査入院をした事
手術を決めた事
そしてそれの結果の予想
包み隠さず言えたのは、相葉さんが隣にいてくれたから
ずっと、肩を抱いていてくれたから
感情的になる事もなく
だからと言って冷たくする訳でもなく
…打ち解ける、までは行かなくても、それなりに歩み寄れたと思っている
事実、父は電話越しでも分かる位に泣き崩れた
父が泣くのは、恐らく母が死んだ時が最後だ
葬儀からは気丈に振る舞う父の姿しか覚えがない
そんな父が、自分の為に泣いている
…それだけでも、俺からしてみれば信じられない出来事だった
もう、父や兄とは一生まともに関わる事はないと思っていた
それが覆されたのも、やっぱり相葉さんのおかげで
あの雨の日に、彼に出会ったのは運命だったんじゃないかとさえ思えている