幸せの欠片
第3章 気分転換
せっかく相葉さんとのメールで気持ち良く1日を終えようと思ってたのに
たった1本の電話がそれをぶち壊す
落ち着き掛けた心を掻き乱す
ムシャクシャする気持ちのまま、何故そうしたのかは分からない
気が付いたら、俺は相葉さんの番号を呼び出していた
『もしもし、かず?…珍しいね』
「…ごめん、忙しい?」
相葉さんは “友達“ になってすぐに呼び名を変えた
呼ばれた事のないそれは、まだ慣れなくて少し擽ったい
『んーん、暇過ぎて寝落ち仕掛けてた』
カラカラと笑う声に、沈んでいた気持ちが上を向く
「起こしちゃったね、ごめん」
『何言ってんの。かずからの電話なら大歓迎だから』
「あの、…」
自分から掛けたくせに、次の言葉が見つからない
勢いで掛けたけど、何て言えばいいのか分からない
『かず、今から出れる?』
「え?」
『気分転換、しようよ』
だけど相葉さんからは特に何も聞かれず、こんな言葉が返って来た
「出れる、けど…」
『よし決まり。迎えに行くから、住所教えて』
言われるままに住所を教えた俺は
急いで簡単に身支度をすませ、相葉さんの到着を待った