幸せの欠片
第3章 気分転換
「何も、聞かないの?」
相葉さんに促されて乗った車は、特に行き先を決めずに走っていた
「聞いて欲しいなら聞くけど、無理に言わなくてもいいよ」
俺の顔を見ても、相葉さんは笑顔のまま何があったかも聞かない
だけど何か感じ取ってはいるんだと思う
「気にならないんだ」
“俺の事なんて“
それが優しさからだと分かってるくせに、捻くれた事しか言えない俺は最低だと思う
「何言ってんの。電話くれた時から気になってるよ。かずから掛けて来たのが初めてなんだから」
「ならどうして…」
「だから、言いたくなったらでいい。俺を頼ってくれただけ、友達冥利に尽きるっての」
“無理すんな“ そう言って、相葉さんは軽くアクセルを踏み込むと
「とりあえず、定番の夜景でも行きますか。男同士ってのがむなしいけど」
あはは、と笑って
また、俺の心を軽くしてくれていた
相葉さんは、俺の気持ちが読めるのかと思うくらい不思議な人だ
そしてこんな俺を “友達“ だと言う変わり者だと思った