幸せの欠片
第3章 気分転換
相葉さんが車を止めたのは、山の上の簡素な駐車場だった
「今日は晴れてるから、良く見えるよ」
車から降りて、先を歩く彼の後ろを付いて行くと
「すごい……」
眼下に広がる街の明かりが、星の海のように広がっているのが見えた
高速道路の規則正しいライトはまるで光る川のようで
だけど広がる明かりが直線を描くように切り取られていて
その先が暗闇なのは何故だろうと首を傾げた
「見えないけど、向こうは海だよ」
まただ
言わなくても、相葉さんが俺の思ってる事に的確に答えてくれた
「そうなんだ」
「昼間もね、景色がいいから割と車も多いんだよ」
言われて見れば、遅い時間なのにちらほらと車が止まっている
「夜は殆どカップルばっかだけど」
そんな場所にいる俺たちはかなり異質かも知れない
現に、さっきからチラチラと好奇心の視線を感じている
俺は、他人の視線なんかどうでもいいけれど
相葉さんには、あまり良いものではないだろう