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幸せの欠片

第4章 友達の定義


山道を下り、綺麗だと思った光がただの「街灯」になった頃には、既に日付けが変わってしまっていた


「ごめん、平日なのにこんなに遅くまで…」

先に沈黙を破ったのは俺

だってこうして連れ出してくれた事には感謝しかない

「いいんだよ。俺が誘ったんだから」

気にするな、と相葉さんの横顔が笑うけど

また言葉が続かなくて沈黙が訪れる



こういう時、“友達“ なら何て言う?

気まずいまま帰るのだけは避けたい

だって相葉さんといる事はとても心地が良いのに




だけど結局何も言えないまま、車は俺のアパートの前に着いてしまった


「かず、付き合ってくれてありがとう」

にっこりと笑う相葉さんに、不機嫌な様子は見られない

「あ、こちらこそ…」

何も聞かずに連れ出してくれて
綺麗な景色を見せてくれて


また行こうね、って言ってくれたけど
このままじゃそれは叶わないかも知れない

俺に呆れて、メールもなくなるかも知れない


煩わしいはずのそれらを手放したくないと思う自分に戸惑いを隠せない

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