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幸せの欠片

第8章 小さな嘘


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頭の痛みで、目が覚めた

見慣れない天井、…だけど見た事はある

俺、どうしたんだっけ?

痛む頭を抑えながらゆっくりと身体を起こした時

ベッドの端に、突っ伏して眠る人の姿が目に入った

「相葉さん…?」

何で俺はここに寝てるんだろう
どうして相葉さんは、そんな所に寝てるんだろう

思い出したくても、店を出てからの記憶が曖昧過ぎる

確か、店を出た時に雨が酷くなってて

相葉さんがタクシーを呼ぶって歩き出して

それから…?


「ん…、かず、目が覚めた?」

俺が動いたからか、相葉さんが目をしばしばさせながらゆっくり顔を上げた

「具合、どう?」

「具合…?」

「倒れたんだよ、かず」

ー…救急車を呼ぼうとしたけど、かずが必死に呼ぶなって言うからうちに運んだんだよ


心配そうに俺を見つめるけど、良く覚えてない


「ごめん、心配掛けた」

「今からでも、病院行く?俺、車出すから」

病院、と聞いて顔色が変わったのが自分でも分かった

「いい。もう平気だから」

「でも顔色良くない」

「いいんだって!」

思わず声を荒げた俺に、相葉さんが驚いたように目を見開いた



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